波田野さんの講演会を開催
鳥取県中部に連綿と受け継がれている文化の礎を築いたともいえる画家であり高校教師でもある中井金三(倉吉市出身)と、その中井を中心に設立された「砂丘社」について、倉吉博物館、倉吉立図書館の館長を務められた波田野頌二郎さん(倉吉市在住)が昨年10月に「中井金三と砂丘社の仲間たち〈不思議の町倉吉〉100年の旅から未来へ」を出版されました。
波田野さんは、鳥取県立美術館が倉吉市に開館するということを受け、中井が地域にもたらした功績や中井を取り巻く優れた人材をさまざまな資料に基づいて記録を残したいという熱い思いから本を出版されました。
中井が育てた世界的画家、前田寛治が若くして死去した後、前田の作品を展示する美術館を建設しようという動きが倉吉市で2回あったとのこと。いずれも実現しませんでした。しかし、時を経て、鳥取県立美術館が倉吉に建ち、鳥取県が収集した前田の作品が倉吉に返ってくることになりました。果たしてこれは偶然なのでしょうか。
中井は多くの生徒を美術学校に進学させ、その生徒たちが地元で中学、高校の美術教師として活躍しました。その流れは現在も引き継がれています。
とっとり県美応援団では、波田野さんの思いを直接聞きたいと、2月16日に打吹回廊(倉吉市)で講演会を開催しました。50人以上の方が講演を聴き、波田野さんのあふれる地域愛に触れ、砂丘社は美術だけではなく、文学、演劇、音楽など多くのジャンルの芸術活動に積極的に関わっていたことも知り有意義な1日を過ごしました。
