大盛況‼︎ 講演会

開催日2020年11月22日

演題:「大御堂廃寺 ~その時代 この地域~」

講師:根鈴智津子氏 (倉吉市教育委員会文化財課専門員)

鳥取県立美術館の環境 えっ!実は・・・

鳥取県立美術館は、倉吉市駄経寺町に建設されることが決まりました。建設予定地は、全国でも珍しく国指定史跡に隣接しています。さて!!この国指定史跡とは?

7月、環境チームの活動計画を話し合う中で、この国指定史跡の大御堂廃寺について知りたいという希望があり、その後の役員会で提案し、講演会開催に向けての取り組みが始まりました。そして、倉吉市歴史民俗資料館の根鈴智津子専門員に講演をお願いすることにしました。

会場になった上灘公民館には、団員や一般の方々など、合わせて60人もの参加者がありました。

講師をお願いした根鈴智津子氏には、多くの資料をご準備いただき、大御堂廃寺発掘調査の体験に基づいての専門的な内容を柔らかい語り口調で分かりやすくお話しいただきました。参加者は次々に映し出されるスライド画面に引き込まれ、「久米寺」と称された当時(7世紀~11世紀)の寺院の姿やくらしの様子に思いを巡らせながら、新しくできる「美術館の誕生」に夢をふくらませました。

講演の概要

□大御堂廃寺  

大御堂廃寺(おおみどうはいじ)は、山陰を代表する最古級の本格的な古代中核寺院跡で、現在その跡地は国史跡に指定されています。これまでの発掘調査により、塔・金堂・講堂・僧房・回廊などが整然と配置された本格的な伽藍配置を持ち、中央寺院に匹敵するほどの立派な寺院であり、塔の礎石から法隆寺五重塔と同様の塔がそびえていたと予想されます。

□築地塀  

築地塀(ついじべい)の遺構(高さ約4m、塀をはさんだ両側の雨落溝間の距離は約5m、東西塀の心々距離約135m)から、史跡指定されている芝生広場よりもさらに市道をはさんだ南側にまで拡がる寺域を有していたことが確実視されています。長大な木樋による上水道施設跡からは木樋総延長96m・推定18本、溜枡(ためます)が発掘されています。大規模な導水施設ですが、10数年間しか使用されていませんでした。溜枡からは、木簡・木製匙・木製祭祀具・曲物・土器・動植物遺体等が発掘されています。このことにより、古環境の復元が可能となります。

□久米寺  

「久米寺(くめでら)」と記された器など古代の生活環境を表す遺物や、正倉院宝物に残る遺物と同じ佐波理や仏具の鋳型など仏教文化の香る遺物が多数発掘されています。このことから当時の最先端の文化が既に花ひらいていたことが実感され、この地は最先端の学びの地でもあったと推測されます。

□体験学習  

1300年余りの時空を超え「大御堂廃寺」の隣に新しく美術館がつくられることに深い感動を覚えます。

現在、県立美術館との一体感を意識した整備や活用計画を作成中です。体験学習として、「礎石運び」や「美術館来館記念の築地塀造り」などを検討しています。

参加者の感想・要望あれこれ

講演後には参加者から次々に専門的な質問が出ましたが、講師は質問に対して一つ一つ具体的にお答下さいました。

参加者からは、

「大変興味深い内容の講演だった」

「体験活動には、ぜひ参加したい」

「これほど歴史のある重要な遺跡だとは‼ 整備・活動計画を有意義に実現してほしい」

「今遺跡の内容が地上に全く現れていないので、建造物などを復元して目に見える寺院の雰囲気を作ってほしい」

「美術館には大御堂廃寺のコーナーを作ってほしい」

「講演会をまた企画してほしい」

「美術館建設事業者の話も聞きたい」

等 の感想や要望がたくさん寄せられました。